矢車附子染やしゃぶしぞめ
Greenalder dye
矢車附子の特徴
本州、四国、九州に見られる落葉性小高木。3~4月の早春に黄色い紐状の花をたくさん咲かせます。秋が深まった頃、枝先に付く松笠状の実を採り、染色に使います。殺菌作用があることから、乾燥させた球果の煎液で火傷や凍傷の患部を洗い、皮膚の炎症を抑える薬として使われてきました。葉を黒く染めるお歯黒にも用いられました。近年では、やせ地でもよく育つことから砂防用の緑化にも用いられたり、水槽の水質改善(有機酸のタンニンで酸性にする)にも用いられます。
球果が乾燥すると茶色く変化する。この乾燥球果を採取し保存しておく。
8月頃の生の球果を採取し乾燥させ保存してもよい。堅果も含まれるのでより濃く染まりやすい。
矢車附子染について
古来より染められた染料でしたが、特に江戸時代ごろに五倍子に代わる黒染めの材料として使われるようになりました。五倍子が紫味がかった黒色になるのに比べて、緑味がかった黒になります。秋前に青い球果を採取し乾燥させるか、松笠状になった乾燥球果を保存して一年中染色することが出来ます。枝や葉も染色に使用できますが、タンニン分は少なく黄色や茶色に染まります。オオバヤシャブシ(A. sieboldiana)ヒメヤシャブシ(A. pendula)ミヤマヤシャブシ (A. firma var. hirtella)とありますが染められる色合いに大きな違いはありません。水戸藩二代藩主徳川光圀公が愛用していたとされる〔水戸黒〕という色合いは、藍染を下染めした上に、矢車附子で何度も染め重ねて染め上げられています。
草木染め方法
媒染法を用いて染色をする。
ステンレス製の鍋に乾燥球果と水をいれ、火にかけて沸騰させ煮煎する。30分ほどしたら布で濾し、できた煎液を染色原液として使用する。4~5回程煎液を抽出できる。
タンニン分が多く含まれるので、染着性が良く、植物繊維を染める際の豆汁などの下染めは必要ない。後媒染法による鉄媒染と染色を何度も繰り返すことでだんだんと黒に近づいていく。アルミ媒染のベージュ、銅媒染の薄茶色、チタン媒染の杏子色、鉄媒染の黒が染めることが出来る。
矢車附子染の媒染による色の違い
乾燥球果 / アルミ媒染(Al)
C00,M12,Y39,K11
R228,G199,B138
乾燥球果 / 銅媒染(Cu)
C00,M36,Y68,K40
R152,G098,B048
乾燥球果 / チタン媒染(Ti)
C00,M46,Y88,K20
R204,G111,B024
乾燥球果 / 鉄媒染(Fe)
C04,M00,Y05,K50
R123,G128,B122
乾燥球果 / 鉄媒染(Fe)
C10,M00,Y10,K84
R038,G032,B048
藍染+乾燥球果 / 鉄媒染(Fe)
C100,M80,Y00,K94
R000,G003,B015
草木染めの色辞典
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No.3
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No.4
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- 柘榴染ざくろぞめ
- Pomegranate dye
No.5
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- Greenalder dye
No.6
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No.7
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- 茜染あかねぞめ
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No.8
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No.9
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- Sumac dye
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No.12
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