藍染〔蓼藍〕あいぞめ
Japanese indigo dye
タデアイの特徴
藍染めについて
古来、中国から伝わり、江戸時代には庶民の色として親しまれました。殺菌作用が強く、染めた衣服で皮膚病や毒虫を防ぎました。小上粉、百貫、千本などの様々な品種があり、現在では徳島や宮崎、北海道などで栽培されていますが、年々生産量が減少しています。MAITOでは、江戸時代より特上と評された、徳島産の小上粉の藍草を発酵させたスクモを主に使い建染めで染め重ねています。
藍の色素
藍植物には、〔インディカン〕という物質が含まれている。植物の細胞が破壊されると、葉に含まれる酵素の働きにより、インディカンは酸化しやすい物質となる。そうして空気と触れ、酸化したものが、藍色を発色するインディゴ色素になる。インディゴ色素は水に不溶の顔料である。
この水に溶けないインディゴ色素を、酸化還元反応を利用し、アルカリ性の水溶液に可溶な状態にすることを〔藍建て〕という。
微生物の働きで藍を建てることを〔発酵建て〕といい、薬品を用いた藍建てを〔化学建て〕という。
藍建てを行ったアルカリ性水溶液を繊維に吸着させ、繊維内で再び酸化させることで、インディゴ色素が藍色を発色する。
スクモについて
スクモとは、乾燥させた藍の葉に水を加えて発酵させたものである。収穫した藍を乾燥させ、手で揉みながら粉砕する。この時に茎やゴミを除き、葉のみの状態にする。粉砕した葉と水をよく混ぜ合わせ、発酵させる。約一ヶ月ほどかけて熟成させ、日陰で乾かす。こうしてできたスクモに、灰汁や石灰を混ぜ、phをアルカリ性に調節し、微生物の養分となる〔ふすま〕と呼ばれる小麦の糠や酒、ブドウ糖などを加え、藍建てすることで、藍の染料液ができる。
蓼藍を育てる
二度越冬した種は発芽率が著しく下がってしまうので毎年種植えをしなければならない。
種植の時期は場所にもよるが、3月の大安の日に種を蒔くのが古くからの習わしである。
>>蓼藍(たであい)の育て方について
沈殿藍を作る
沈殿藍とは、その名の通り、藍の色素インディゴを沈殿させたものである。
まず、収穫した藍を生の状態で蓋のついたバケツにいれ、ひたひたの水を加える。そのまま(気温にもよるが)二日程放置して発酵させる。
葉が褐色になり、表面に薄い膜が張っている状態になれば、発酵の完了である。この行程で、インディカンと酵素が水に溶け出す。バケツから藍を取り出し、石灰を加え、phをアルカリ性に調整する。その後、青い泡が出るようになるまで撹拌する。この撹拌により酸化が起き、インディゴが生成される。撹拌終了後、二日程で、不溶性のインディゴ色素が沈殿する。上澄みを捨て、泥状に沈殿したインディゴ色素は〔泥藍〕と呼ばれ、それを乾燥させたものが〔藍錠〕と呼ばれる顔料である。
藍建ての方法
インディゴ色素は水に不溶であるが、その還元体はアルカリ性水溶液に溶けることができる。一度、酸化して生成されたインディゴ色素から酸素を取り除き、還元することで藍染めが可能な染料となる。藍建ての方法は還元菌を使った≪発酵建て≫と還元剤を使った≪化学建て≫の二種類に分別できる。
藍の色名
葉
C08,M02,Y00,K00
R235,G249,B255
葉
C16,M03,Y00,K00
R214,G248,B255
葉
C20,M05,Y00,K01
R202,G239,B252
葉
C29,M08,Y00,K01
R179,G233,B252
葉
C31,M10,Y00,K02
R177,G224,B250
葉
C40,M13,Y00,K11
R136,G197,B227
葉
C47,M16,Y00,K09
R123,G196,B232
葉
C51,M17,Y00,K14
R107,G182,B219
葉
C66,M29,Y00,K24
R066,G138,B194
葉
C78,M38,Y00,K24
R043,G120,B195
葉
C88,M42,Y00,K36
R020,G094,B163
葉
C88,M55,Y00,K35
R019,G079,B165
葉
C93,M54,Y00,K43
R010,G066,B145
葉
C95,M66,Y00,K50
R006,G043,B128
葉
C98,M68,Y00,K63
R002,G030,B094
葉
C100,M95,Y00,K71
R000,G004,B075
葉
C100,M95,Y00,K77
R000,G003,B059
葉
C100,M95,Y00,K84
R000,G002,B041
タデアイ葉 ベニバナ花弁
C26,M50,Y00,K28
R136,G092,B184
タデアイ葉 クワ 鉄媒染
C97,M28,Y00,K73
R002,G050,B0695
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