蓼藍(たであい)の育て方について
- モノつくりのこと
- 2020.3.28
マイトデザインワークスでは蔵前と福岡で藍を育て、生葉染めに使用したり、徳島産の蒅(すくも)が足りない時の割建て用の沈殿藍として使用しています。蔵前ではプランターで育てているのですが、収穫量も多くないので育った藍はほとんど夏のワークショップで使ってしまいます。
それでも毎年蒔ききれないほどの種が収穫できるので、弊社では収穫した種を無料で差し上げています。2月下旬~4月頃までに蔵前店にお越しいただいた際に、一言「藍の種が欲しいと」お声がけいただければ結構です。ご希望の方は是非蔵前店までお越しいただければと思います。弊社オンラインショップでご購入いただいた方にもご希望の場合、藍の種を同封しています。
ただ藍の種をお配りするだけでは育て方も分からないかと思いまして、育て方を自分なりにまとめてみました。是非参考にしてくださいませ。
今年の藍の種収穫しました!
藍の種が欲しいとのお問い合わせを数多くいただいております。電話やメールなどでのお問い合わせは通常業務に差支えますのでお控えいただければ幸いです。
今年の種はまだ在庫があります。2k540店、蔵前店、渋谷店にお越しいただければ差し上げますのでコロナ過でお出かけしづらい昨今ではありますが是非いらしてください。MAITOオンラインショップでご注文いただいた方で、備考欄に”藍の種希望”とご記入いただければ同梱させていただきます。(4月末まで)
MAITOオンラインショップ>>>https://maito-shop.com/
目次
藍の種類
インディゴ色素を含む植物の事を藍と呼びますが、藍といってもタデ科からマメ科のものまで種類は様々です。代表的な藍には以下のような種類があります。
蓼藍(タデアイ)
〔英名〕Japanese indigo plants 〔和名〕蓼藍・アイタデ・藍 〔学名〕Persicaria tinctoria
タデ科の一年草。日本で古くから使われてきた藍。本州の東北南部、以西の太平洋側と四国、九州の低山帯・平野部に分布する。この蓼藍の葉を乾燥させ、100日間かけて発酵させたものが蒅(すくも)と呼ばれる。この蒅を用いて染めた藍染めは「本藍」「正藍」と呼ばれた。小上粉・百貫・千本などの品種がある。
木藍(キアイ)
〔英名〕Indian indigo 〔和名〕木藍・インド藍 〔学名〕Indigofera tinctoria L.
マメ科の多年生植物。タイワンコマツナギやナンバンコマツナギ(Indigofera suffruticosa Mill.)などの品種がある。 タイワンコマツナギは「インド藍」という名称で天然藍としては最も多く流通している。主に東南アジアで収穫できる。現在もインドや石垣島、台湾などで栽培されている。インド藍はブロック状、粉末状で輸入されることが多く、手早く乾燥させるために煮沸され、バクテリアが死滅しているものが多いので、染色には還元剤を使って藍建てすることが多い。
琉球藍(リュウキュウアイ)
〔英名〕Assam indigo 〔和名〕琉球藍・ イエー 〔学名〕Strobilanthes cusia
キツネノマゴ科イセハナビ属の常緑低木、多年草。中国、インドシナ半島、日本、台湾が原産といわれる。現在も沖縄県本島に自生する。蓼藍に非常によく似ているが、琉球藍の方が葉も大きく、肉厚で立体感がある。沖縄本島では沈殿藍(泥藍)を作り発酵建てで染められている。蓼藍よりも藍の含有量が多く濃色に染めやすい。
大青(タイセイ)
〔英名〕Woad 〔和名〕大青 クルクサ(久留久佐) 〔仏名〕パステル 〔学名〕Isatis tinctoria L.
アブラナ科タイセイ属の多年草・二年草。原産地はヨーロッパや西アジア、北海道など。ホソバタイセイやエゾタイセイ(ハマタイセイ)などの品種がある。藍の含有量は非常に少ない。中世ヨーロッパではウォードが盛んに栽培され、葉を粉砕しボール状にして乾燥した「ウォードボール」を作り、尿を還元剤に用いて染められていた。19世紀以降にインド藍が輸入されるようになるとウォードで染められることは少なくなった。現在、フランスでは「パステル」という染めとしてわずかながらに残っている。
山藍(ヤマアイ)
〔英名〕Woad 〔和名〕山藍 〔学名〕Mercurialis leiocarpa
トウダイグサ科の多年草。原産地は日本。万葉集や源氏物語にも出てくる植物(色)で、日本古来から染められてきた。藍の名がつくが実はインディゴ色素は含まれていない。葉や茎を使って染めると黄色や黄緑色、灰色が染まる。青色を染めるには地下茎を天日干し、銅媒染で染める。
合成藍・化学藍
〔英名〕indigo,Synthetic indigo 〔和名〕合成藍
石炭のコールタールから化学的に合成されたインディゴ色素。天然の藍ではない。1880年頃に藍の合成化学式が分析決定され、合成することに成功し、1879年に量産化された。インディゴピュアーとも呼ばれるので。天然藍と勘違いしてしまいがちだが、ピュアーとはインディゴ色素含有率100%(に近い)を意味する。一般的にこの合成藍を用いて染めたものを「インディゴ染」と呼ばれる。
蓼藍の育て方
藍の種を手に入れる
まずは蓼藍の種(もしくは苗)を手に入れなければなりません。しかも種は最新(去年採れた)の種を植えないといけません。二度越冬した種は発芽率が著しく下がってしまうからです。苗はホームセンターで売っている場合があります。種は自分で収穫するか、育てている方から譲っていただきましう。MAITOでは毎年2月~4月に草木染めワークショップにご参加いただいた方や直営店やウェブショップでお買い上げの方に差し上げています。蔵前店にお越しいただければ、種が余っていたら無料で差し上げています。
土壌づくり
種をまくのには通常苗床を作りますが、家で育てる場合は必要ありません。
プランター植えの場合
大きめのプランターに、軽石、赤玉、土の順に入れ良く平らにならす。野菜用の培養土をまぜた土がおすすめ。日当たりと水はけの良い場所に設置してください。
地植えの場合
植える二週間ほど前に、予め石灰と鶏糞を撒いてください。土をアルカリ性にし施肥することで藍が成長しやすくなります。植える前に雑草が生えていたら抜いておいてください。
種まき
種を蒔く時期
3月の上旬の大安の日を選んで行うのが通例。遅くとも4月中には蒔きましょう。
種の蒔き方
20cm間隔ほどに(地植えは50cm間隔)一箇所に3~5粒ずつ、2~3cmほどの深さの穴をあけて蒔く。蒔いたら土で穴を埋めて、軽くならし、たっぷりと水をやってください。水の勢いが強いと種が浮き上がってきてしまいますので注意してください。
発芽~間引き
種まき後、朝夕たっぷりと水をやると2~3週間ほどで発芽します。発芽後は根の成長を促すため、水の量を軽く湿るぐらいに抑える。背丈が10cm程になったら、一箇所につき2本程にします。雑草はこまめに抜いてください。
成長するまでにやる事
除草
成長を促すため、こまめに雑草を抜き取ってください。
水やり
水のやりすぎによる根腐れに注意をしながら、朝夕と水をあげてください。
施肥
5月下旬ごろに追肥を行ってください。肥料は鶏糞を茎から離して適量散布してください。緩効性化学肥料でも大丈夫です。
虫駆除
暖かくなってくるとアブラムシが葉の裏につき、成長を妨げてしまいます。アブラムシのついた葉は黄色くなってしまい色素が生成されません。アブラムシ駆除としてはいくつか方法がありますが、1)テントウムシなどを葉につける2)牛乳を葉っぱの裏にスプレー3)オルトランを散布する などの方法があります。また、藍の葉は虫にはとても美味しいらしく、毛虫などがつくと食べられてしまうのでこまめに取り去ってください。
刈り取り
第1回目刈り取り
梅雨明けの6月下旬~7月上旬ごろになると背丈50~70cm程に成長するので刈り取りを行う。晴天の日に、下から10cmのところで刈り取る。刈り取り後施肥する。
第2回目刈り取り
8月上旬~8月下旬ごろになるとまた背丈50~70cm程に成長するので刈り取りを行う。晴天の日に、下から10cmのところで刈り取る。種とり用の藍は刈り取らないでおく。
開花・種とり
種とり用の藍は9月上旬ごろになると白い花が咲く。その後10月下旬以降には種ができる。種ができた房を切り、風通しのよく乾燥した場所につるしておく。乾燥後は封筒に入れて保管し、翌年の種まきに使う。(藍は二度越冬すると発芽率が著しく下がります。)
藍染の方法
すぐ染める場合・・・生葉染め
生葉を使ってすぐ染めることができます。詳しくは≪生葉藍の染め方≫をご覧ください。
https://maitokomuro.com/藍の生葉染の方法
乾燥して保管する場合
刈り取ってすぐに染めない場合は保管することができます。沈殿藍を作る方法と乾燥葉にして保管する方法があります。
最後に
いかがでしたでしょうか。自分で育てるのはちょっとハードルが高いと感じるかもしれませんが、慣れてみると意外と育てやすいのがタデアイです。
是非育てて、お手持ちのストールや洋服などを染めて、藍ならではの涼やかな色を楽しんでください。
後日、藍建てや生葉染めの方法などアップしたいと思います。
Maito Design Works 小室真以人
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