藍の生葉染めの方法 How to natural dye -Fresh indigo leaves-

モノつくりのこと
2021.7.23

plantdye indigodye

ご無沙汰しております。
今回は夏の時期しか染めることができない、新鮮な藍の葉を用いた「藍の生葉染め」の方法をご紹介いたします。藍の葉さえ手に入れば、草木染めの中でも比較的簡単に染められる方法になります。是非参考にしていただいてご家庭でチャレンジしてみてください。

藍の生葉染めとは

文字通り、収獲した藍の葉を生の状態で染料にし、染色する技法です。藍の染色方法は生葉染め以外にも、藍の葉を「スクモ」という状態に加工し、発酵させて染料にする「建て染め」というやり方や、乾燥させた葉を染料にするやり方があります。タデ藍は7月から9月にかけて収穫することができます。そのため藍の収穫時期でしかできない藍染です。また、染められる生地はシルクやウールなどの動物繊維のみになります。綿や麻などの植物繊維は相性が悪く今回の方法では染められません。植物繊維を染めるには「たたき染め」や建て染めを行う必要があります。

用意するもの

染めに入る前に材料や道具の準備をします。

染める素材

シルク素材かウール素材の生地やストールなど
(今回はシルクストールを使います。植物繊維はNG)

材料

藍の葉
(新鮮なもの。乾燥してしまうと染まりません)

道具

バケツ 大きめのボウル 洗濯ネット ミキサー ぬるま湯(50℃)

藍染め(生葉染め)の手順

① 生地の下処理

染める生地をぬるま湯で洗い、のりや油分、汚れを落とします。洗った後は軽く絞ります。

藍染 indigodye

② 藍を刈り取る

プランターで育てた藍です。地植えのものや刈り取った藍をビニール保管したものでも構いません。

藍染 生葉染

藍の生え際から10-15cm上のところから鋏を使って刈り取ります。(刈り取られた藍も1ヶ月ほどするとまた成長して再度刈り取りができるようになります。)

藍染 生葉染

③ 茎と葉を分ける

生葉染めでは葉のみを使って染色するので刈り取ったものを葉と茎に分けます。
(茎はそのまま捨てずに水を入れたコップなどに入れ1週間ほどすると根っこが出てくるので再び植えると成長します。)

藍染 生葉染

藍染 indigodye

茎4-5本分でスカーフ1枚ほど染められます。
使う分量は藍の葉の成長度によって異なりますので都度調整してください。

藍染 indigodye

④ 抽出

ミキサーに葉を入れたら、ぬるま湯(50℃)を入れ、10〜20秒ほどミキサーにかけ藍の生葉液を作ります。この段階では液は黄緑色をしています。
ワンポイント:長時間ミキサーにかけると酸化が進んで液体が青くなってしまいます。青くなってしまうと生葉染めできなくなりますのでご注意ください。

藍染 indigodye

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ボウルやバケツに洗濯ネットを広げ、中に藍の生葉液を入れてファスナーを閉めます。

plantdye indigodye

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⑤ 染める→発色

藍の生葉液の入ったボウルに①で準備した生地を入れます。

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水中で生地を2〜3分ほど揉み込んで染めていきます。

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洗濯ネットの中の葉も同時に揉み込む事で、藍葉の中にある色素がよく出てきて、より濃く染ります。

plantdye indigodye

生地が青く染まったら、液から引き上げ絞ります。

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よく広げて、空気に触れさせて十分に酸化させます。

藍染 生葉染

⑥ ④~⑤の工程を繰り返す

④~⑤の工程を繰り返すほどに色が濃くなっていきますのでお好みのお色になるまで繰り返し染めます。(今回は1回染めです。)

⑦ 水洗い

好みの濃さになったら水でよく洗います。すると葉緑素などの色が抜けてより鮮やかな青になります。

藍染 生葉染

⑧ 乾燥

風通しの良いところで干して、乾いたら完成です。

藍染 生葉染

藍染 生葉染

その他

染色のコツ

・藍を刈り取った後はなるべく早く染色してください。刈り取った後、ビニール袋に入れて密閉すれば1日ほどは保管できます。ですが、染める直前に刈り取った方が色素を無駄にしないのでおすすめです。
・藍の生葉液(ぬるま湯)の量は染めるものに応じて調整してください。スカーフなどで2-3L、洋服などの大きいものでも8L程もあれば足りるかと思います。
・染めきれなかった藍の葉は風通しの良いところに広げて、よく乾燥させてください。乾燥葉は「お茶」として楽しむ事もできますし、「乾燥葉を使った藍建て」にも使用できます。

お手入れについて

・ぬるま湯に少量の中性洗剤を溶かし入れ、軽く押し洗いをし、軽く脱水をします。(生地が傷みやすいものは手絞りをおすすめします)その後すぐに形をととのえて、日陰干しをします。
・染色後10日間暗所で保管(寝かせた)したのちにぬるま湯で洗うとアクが抜けて色がより長持ちするようになります。

最後に

まずは藍を手に入れなければいけないハードルはありますが、藍の葉さえ手に入れば簡単に染めることができる「藍の生葉染め」。ぜひチャレンジしてみてください。緑色の葉から青に変わる瞬間は植物の神秘を感じられてきっと感動していただけると思います。
藍の育て方は過去にまとめてますので参考にしてください。

Maito Design Works 小室真以人

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