紫鉱染しこうぞめ

Lac dye

和名ラック(紫鉱)
別名紫香(むらさきこう) 紫梗、紫膠、花没薬(はなもつやく) ラック介殻虫
英名植物:Lebbeck tree 染料:Lac insect stick
学名植物:Albizzia lebbeck Benth 虫:Laccifer lacca KERR
科名属名植物:ネムノキ科/ネムノキ属 虫:カメムシ目/ラックカイガラムシ科
分布熱帯アジア 北アフリカ 北オーストラリア
品種植物:ビルマネム ハナモツヤクノキ(Butea monosperma) イヌナツメ(Zizyphus jujuba)
特徴染料:ラック虫の巣/樹脂状(シェラック/ラックスティック) 樹脂を含み紫赤色 植物:高木 落葉広葉樹 花/黄緑色 葉/羽状複葉
染色部位シェラック/ラックスティック(樹液とラック虫の巣が樹脂状に固まったもの、枝の周囲に寄生)
染色時期通年

ラック(紫鉱)の特徴

ラック(紫鉱)について

主に熱帯アジアや北アフリカ、北オーストラリアに分布するネムノキ属やイチジク属、アカシアの仲間の木に繁殖する、カイガラムシ科のラックカイガラムシ(ラック虫、Laccifer lacca KERR)の雄が樹液を吸って分泌した膠質のスティック状の物質を「ラック(紫鉱)」と呼びます。主にインドやミャンマー、チベット、タイ、ブータンなどで採取され、奈良時代に薬や染料として伝わりました。法隆寺や正倉院等の織物の染色に紫鉱染の色が多数残っており、正倉院に紫梗という名で今も保存されています。また、色素を抽出した残留物から樹脂であるシェラックが採れ、古くよりワニスや絶縁材料、コーティング剤として用いられます。

紫鉱染め(ラック染め)について

ラック染めは古代中国やタイのアユタヤ朝などで古くから染められてきた染めになります。日本では奈良時代ごろに伝来し、法隆寺や正倉院等の織物の染色に紫鉱染の色が多数残っています。染料自体は正倉院に紫梗という名で今も保存されています。
ラックから抽出される色素は主にアントラキノン系のラッカイン酸類になります。
このラッカイン酸を用いて、臙脂色や赤紫色、紫黒色を染めます。

草木染め方法

媒染法を用いて染色をする。
ステンレス製の鍋に紫鉱(ラックスティック)と水、少量の酢を入れ煮煎する。
60分ほどしたら布で濾しさらに3~4回程煎液を抽出する。
すると濾し布には樹脂(シェラック)、濾した液には色素(ラッカイン酸)を分離させることができる
植物繊維を染める際は豆汁などで下染めをする。先媒染法によるアルミ媒染の後に、染色を何度も繰り返し染め上げていく。

紫鉱染め(ラック染め)の媒染による色の違い

ラックピンク
ラックスティック / アルミ媒染(Al)
C00,M75,Y31,K30
R179,G45,B123
桃色ももいろ
ラックスティック / アルミ媒染(Al)
C00,M37,Y16,K05
R243,G154,B205
躑躅色つつじいろ
ラックスティック / 錫媒染(Su)
C00,M53,Y53,K18
R209,G098,B098
紫香色しこういろ
ラックスティック / 鉄媒染(Fe)
C01,M29,Y00,K61
R098,G070,B099

草木染めの色辞典

arrow