檳榔子染びんろうじぞめ

Betelnut dye

和名ビンロウ(檳榔)
別名ビンロウ 染料名:檳榔子(びんろうじ)槟榔子
英名植物:Betel palm 染料:Betel nuts
学名Areca catechu L.
科名属名ヤシ科/ビンロウ属
分布アジア 東アフリカ
品種スオウ ブラジルウッド/フェルナンブコ(Caesalpinia echinata/Brasilwood/ブラジル東部原産)シビピルナ(caesalpinia peltophoroides)
特徴雌雄同株 種子/長楕円形
染色部位種子(ビンロウジ)
染色時期種子の収穫:夏~秋 染色:通年(乾燥種子)

スオウ(Caesalpinia sappan L.)はマレーシアやインドなどの熱帯地域に自生しているインド原産のまめ科の小高木です。近似種のブラジル東部原産のブラジルウッド(Caesalpinia echinata)も同様に染色に使用されます。これらの木の芯材には、紅色色素前駆体の〔ブラジリン〕が含まれることから赤色などを染色するのに用いられてきました。弦楽器の弓の素材としても使われています。漢方としては蘇木(そぼく)という名で止血、鎮痛、通経などの作用があります。
檳榔子染 びんろうじぞめ
ブラジルウッド(Caesalpinia echinata)。マメ科にみられる羽状複葉。長楕円形状。
檳榔子染 びんろうじぞめ
ブラジルウッド(Caesalpinia echinata)。マメ科にみられる羽状複葉。長楕円形状。
檳榔子染 びんろうじぞめ
ブラジルウッド(Caesalpinia echinata)。マメ科にみられる羽状複葉。長楕円形状。

檳榔子染について

日本では飛鳥時代に中国から渡来し、平安時代には貴族に好まれたとても貴重な染料でした。平安時代中期に編纂された格式の〔延喜式〕に示されている様に、天皇が〔即位の礼〕にお召しになる絶対禁色の黄櫨染(こうろぜん)や、禁色の深蘇芳(ふかきすおう)や浅蘇芳(あさきすおう)を染めるのにも使用されてきました。江戸時代になると庶民の色として安価に、広く用いられ、茜や紅花の代わりの赤を染める色として使われるようなりました。また、鉄媒染で染める〔似せ紫〕は、当時高価だった紫根の〔古代紫、本紫〕に代わる紫色として流行しました。

檳榔子染の色素

芯材に含まれる紅色色素前駆体の〔ブラジリン C16H14O5〕は無色だが、酸化すると赤色のキノメタン型の〔ブラジレイン C16H12O5〕に変化する。酸化が進むほど赤が濃くなるとされ、さらに日光の下で染色をするとより濃く染まる。これは光酸化と脱水素酸化の相乗効果で、酸化がより進むためである。酸性にすると赤味がかった色合い、アルカリ性で青みがかった色合いになる。残念ながら蘇芳で染められた色は退光堅牢度は低く、色褪せしやすい色として古くから認識されている。

草木染め方法

媒染法を用いて染色をする。
ステンレス製の鍋に蘇芳の心材や小枝を細かくしたチップと水、少量の米酢いれ、火にかけて沸騰させ煮煎する。20分ほどしたら布で濾し、できた煎液を染色原液として使用する。3~4回程煎液を抽出できる。
植物繊維を染める際は豆汁などで下染めをする。先媒染法によるアルミ媒染の後に、染色を何度も繰り返し濃色に染め上げていく。アルミ媒染で赤系の色、銅媒染で茶色、鉄媒染で似せ紫や黒茶色が染められる。

檳榔子染の媒染による色の違い

桜鼠さくらねず
種子 / アルミ媒染(Al)
C00,M25,Y24,K16
R215,G162,B164
PANTONE 15-1611 TPX
檳榔子黒びんろうじぐろ
芯材 / 鉄媒染(Fe)
C00,M46,Y36,K36
R162,G087,B104
蘇芳色すおういろ
芯材 / アルミ媒染(Al)
C26,M96,Y79,K00
R200,G040,B056
樺茶かばちゃ
芯材 / 銅媒染(Cu)
C00,M44,Y60,K43
R146,G082,B059
似せ紫にせむらさき
芯材 / 鉄媒染(Fe)
C70,M80,Y63,K32
R081,G055,B067
黄櫨染こうろぜん
櫨+蘇芳芯材 / アルミ媒染(Al)
C00,M50,Y75,K16
R214,G106,B053

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